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BRISTA

株式会社brista

高橋瑞季

証券会社からスタートアップへ
ご縁から繋げる事業成長への道

前編に引き続き、株式会社brista代表取締役の高橋瑞季さんにお話を伺いました。 後編では、起業の経緯や滋賀でのスタートアップのメリットとデメリット、資金調達に関するアドバイスについて紹介します。

証券会社勤務から起業の道へ

大学卒業後、証券会社に勤務していた高橋さん。 大阪でのプライベートバンキング部立ち上げの一員として、上場会社の社長を担当。 当時27歳ぐらいだった高橋さんは「経営者ってカッコいい」と思うようになったといいます。

経営者の方から唐突に「高橋さんが会社を経営するなら何をやりたいの?」と質問されたものの、まったく答えが出てきませんでした。 そこで、私は何がやりたいか、ノートに書いていくことに。 「実家が遠い。両親の老後はどうする」「私の老後資金は?」など、いろいろな悩みを書くなかで、まずは経営者としてこれらの悩みを解決できる事業をやりたいと思いました。 当時は、スーツを着て仕事をする日々です。そこで、スーツのレンタル構想を練り、キャリア女性向けのレンタルのイメージができありました。

証券会社から起業家は、かなり大きな転身のイメージです。 周りに話してみたものの、周囲の反応は、あまり好ましいものではありませんでした。

証券会社の仲間は、ベンチャー企業の倒産確率をよく知っています。 また、プライベートバンキング部立ち上げメンバーは、白羽の矢が立っている状態でした。 「このまま働き続ければ、キャリアアップも見えている。だから血迷ったことを言うな。よく考えろ」と、かなり否定されました。 両親に相談したときも、20代後半ということもあり、あまり好意的な反応は得られませんでした。 当時、市場としての洋服シェアは、まったくない状態です。誰に話しても「いいとは思うけど、誰が使うの?」「需要はあるの?」という反応でした。

滋賀県のスタートアップのメリット・デメリット

創業時の発案者の女性が、滋賀県でビジネスをしていた経緯から、滋賀県に本社を置くことを決めたbrista。 滋賀県のスタートアップとして事業を続けるなかで、いくつかのメリット・デメリットを感じることに。

注文が入り発送する際、翌日に本州全域に届くことは、圧倒的なメリットです。 朝9時までの注文は、即日発送するため、お客様からは「注文から翌日に届いた」と、非常に喜んでいただいています。 また、従業員採用にあたり、非常に女性たちが優秀だと感じています。結婚などにより滋賀に引っ越してきた方や、大阪をはじめ他の都府県でスキルを積み、滋賀に戻って家事をしている方達を採用し、活躍してもらっています。

滋賀県に住む人からは「働く場所はあるが、自分が培ったスキルを活かせる職場が見当たらない」といった声を聞くことがあります。 そのなかで、bristaは、能力を発揮できる職場であり、働きたいと感じる人が多い会社といえるでしょう。

デメリットとしては、企業発のスタートアップ向けのプログラムの数が少ないことが挙げられます。 大阪や京都に比べると、スタートアップの横のつながりや地域のつながりがつくりにくいと感じます。

過酷を極めた資金調達

スタートアップにおいて、重要な資金調達。高橋さんは、証券会社というお金を扱う業界にいたこともあり、資金調達についても多少理解していると感じていました。しかし、資金調達は、想像以上に大変なことでした。

私は、APT Women(アプト ウィメン) に採択いただき、プログラムに参加しました。VCさんと直接知り合うよりも、プログラムに参加することで、コネクションができると考えたためです。 全国を見ても、圧倒的に東京のVCさんが多く、東京開催はもっとも参加者が多いです。ただ、今の資金調達のメインは、関西を中心とした企業さん。東京のVCさんにも、いろいろとアプローチを行いましたが、その時点では難しい状況でした。 LED関西 をはじめ、関西で行われている起業家向けのイベントにも参加し、さまざまなつながりのなかで、資金調達にこぎつけました。

世の中に必要な事業であることを伝え、いろいろなところにアプローチを行った高橋さん。 「お金がないと始まらない」との思いと同時に、「大きなビジネスをやるためには、これくらいの資金が必要だ」との思いから、自分が描く夢を訴え続けました。

一番苦戦したのは、「同業他社、類似企業は何ですか?」の質問です。類似企業のイメージによって、当社のイメージが良くも悪くも固定されてしまいます。 また、東京のVCさんにアプローチしていた時には、業界としてはすこし厳しいのではといった話もあり、非常に苦戦しました。 「洋服レンタル事業には、お金がかかる。だから投資ができない」との断り文句は、とても多かったです。 当社は業界のなかでも、違いますとアピールし続けましたが、打開できるほどの実績づくりができていないなかで苦戦しました。

VCさんの調達と同時に、金融機関の調達も実施。 株で調達するのか、融資で返済が必要な状態で資金を調達するのかなど方法はまったく異なるものの、バランスや環境を見たうえで、進める形を選んでいます。

今、現在お世話になっているのは、政策金融公庫さんです。 地元の支店でお世話になり、事業計画を見ながら、足元の実績を等身大で描きつつ、融資を検討いただいています。

滋賀県のスタートアップへ。資金調達のアドバイス

資金調達をするうえでは「何をやりたいか」「自分が叶えたいことは何か」が、非常に重要です。そして何が他と違うのか、なぜ自分がやらなければならないかを考え、小さくてもいいですからまずは実績をつくってください。 何よりも大事だと思うことは、ご縁をいっぱいつくっていくことです。 たとえば、VCさんも、Aさんはダメと言ったけれど、Bさんがいいと言う場合もあります。人づてにいろいろなご紹介をいただくなかで、自分が目指すところが変化したり、もっとアウトパフォームすることができたりといったこともあるため、ご縁は大切にしてください。

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