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BRISTA

株式会社brista

高橋瑞季

洋服の価値を更に高める。
市場の転換期へ挑む

今回お話をお伺いしたのは、洋服レンタル事業を中心に行う株式会社brista代表取締役の高橋瑞季さん。 事業内容やコロナ禍がもたらした事業転換について、さらに今後のビジョンについてお話を聞いてきました。

スタート時点のペルソナは、45歳管理職の女性

洋服のレンタル事業を行っているbrista。創業当時のペルソナ像は、45歳管理職でした。 お客様の継続率が高く、事業継続とともに、利用者の年齢層も一緒に上昇。 現在は、50代をメインに、30代から60代の幅広い年齢層の女性が利用中です。

もともと、「輝く女性」をイメージしてビジネスを展開したいと考えていました。 管理職に近い年齢=45歳以上ということもあり、当初のビジネスでは、ワンピースの専門レンタル会社としてサービスを発足させています。 私自身、20代後半から30代にかけて、かなり忙しい日々を送っていました。転職してキャリアアップするかどうかや婚活などの悩みなどを抱えるなかでも、洋服は、毎朝の悩みのひとつ。 私の悩みは、多くの女性の悩みだと捉え、解決したいと思ったことが、アパレルレンタルのきっかけです。

起業当時、30代前半だった高橋さんは「ビジネス=スーツ」のイメージを感じていたものの、商材としてワンピースが最適であること、管理職の女性は洋服のレンタルに対してお金を払うニーズがあると考え、ビジネスをスタート。 2019年当時は、ブルーオーシャンでしたが、現在はレッドオーシャン化しています。

洋服のレンタル事業自体は、参入障壁が低めです。 在庫となる洋服を持ち、お客様への提案と返却を管理すればスタートできます。ただ、事業化しようと思うと難易度が高くなることも事実です。 ここ数年で撤退された企業と流入される企業の数を比べると、流入数の方が多い状況です。 一方、上場企業や大手百貨店などが運営する洋服レンタル事業は増加。市場の拡大につれ、ますます流入する企業は増えていくと思います。

所有からシェアリングへ。コロナ禍がもたらしたもの

個人的に、2019年以前は、シェアリングよりも所有を好むイメージが強い印象があります。 そして2020年、新型コロナウイルス感染症の拡大により、これまでの文化が一転。bristaにとっても、大きな転換を迫られました。

少しずつシェアリングが増えつつあるなかで、コロナ禍によって、フレキシブルな自由度の高いモノを求められるようになった印象です。これは、洋服に限った話ではありません。所有ではなくレンタルで使えるモノが増えたと感じます。 そのうえで、コロナ禍はとても大変なできごとでした。ただ、振り返ると、事業に関してはいいところがたくさんあったことも事実です。 利用者に対しては、外出シーンが減ったことで「よそいき」ニーズが減少。ワンピースは不要とのお声もいただいたことで、カジュアルな商材が増えました。

時間が経つにつれ、「少し出かけるとき=よそいき」へと変化。普段着は自分で持っているため、友達と会うときに洋服をレンタルしたいとのニーズも増加していきます。

レンタル後、そのまま購入する方も非常に増えました。 コロナ禍により、ウィンドウショッピングの機会が減り、ネット通販が増えた影響もあると思います。

ALL WINにより誕生した「LeiB」と「Merblue」

bristaには、洋服レンタル以外にも、洋服のクリーニングプラン「LeiB(レイビー)」やユーズド品・リメイク品の販売サイト「Merblue(マーブル)」があります。

誕生の経緯は、ひとことで言うと「ALL WIN」。まず「LeiB」は、取引しているクリーニング屋さんとのタイアップ商品です。 当社の商品をレンタルいただいているお客様のお声には「ユーズド、中古だと思えない」「新品のような商品が届いた」といったものがあります。 ここで、クリーニングの品質が高評価であると考え、クリーニング屋さんと利用者さんをつなぐイメージで商品化しました。

通常のレンタルの際には、キズがあるものや劣化品は「訳あり商品」として伝える一方、なかには、画像や文字でお客様に伝わりきらないようなアイテムもあります。 レンタルが難しいアイテムを型落ち品として販売する場所が「Merblue」です。

型落ち品と表現していますが、実際にはまだまだ活躍できる商品ばかりです。 ちょっとキズやほつれなどがあるものの、自分が持っている服のほうが、もっと問題があるのでは?と思うレベルの服もあります。 新品同様でレンタル品をお届けする目線に立つと、ご提供が難しいという判断基準のアイテムです。 非常に安価なため、喜んでいただくことも多いです。

コロナ禍を経て、BtoBビジネスへの転換期が到来

アパレルとは無関係の業種からアパレル畑に飛び込んだ高橋さん。 金融機関や商社からの紹介を通じ、アパレルメーカーとのつながりをつくっていきました。ここでもコロナ禍が、大きな転換をもたらします。

メーカーさんから「bristaさんは、在庫を買ってくれるんでしょう?」と、ご相談が来るようになりました。 ただ、限られた資金や諸々の要因から、すべを買うことはできません。ここで、ビジネスモデルを転換するきっかけができました。 最初は「45歳管理職の女性」に合う服を、メーカーさんが持つ服から選んでいました。 ここから、メーカーさんのお困りごと解決に方針を転換。「この在庫一式をレンタルできますか?」と言われた際に、どうすればレンタルできるかを考える、BtoBビジネスに切り替えました。

大量の在庫を抱えたメーカーは、シェアに力を入れる方向性も考えられます。 メーカーは、仕入れ先でもあり、bristaの競合になる可能性も。シンプルなモデルに見える一方、ビジネスとして成り立たせるためには、かなりノウハウが求められる印象です。

レンタル業を続けることに変わりはありませんが、もともと当社は、お客様目線で商品を提供することからスタートしています。 企業様のほうを向いて、顧客とマッチングするイメージへの切り替えは、まったく違うビジネスモデルです。 最初に在庫管理システムの見直しを行いました。今まで以上に大量の在庫を扱うなかで、お客様が商品を探しやすくするためです。 ただ、このあたりはさらに改良が必要だと思っています。

いくら参入障壁が低くても、大量の洋服を扱う場合、効率や金額、品質など問われる内容も多くなります。 bristaの強みは、優秀な社内スタッフと、レンタル商品の値付けにありました。

長期勤務しているスタッフが多く、当社にはノウハウが積み上がっています。 また、他社さんの場合、3着1万円や1着3千円のようなシステムが多いです。しかし、当社では、アイテムごとに価格を変えています。 価値を均一にせず、個別に評価できるからこそ、さまざまなメーカーの商品を預かることが可能です。ブランドや店頭価格以外にも、シーズンや素材による影響もふまえた値付けも、経験に基づいて行っています。

洋服の価値を損なわず、双方に嬉しいサービス展開を目指す

メーカーさんにとって、いくら在庫を抱えていても、9割引セールは現実的ではありません。 ただ、9割引のレンタルは可能ではないかと考えています。「ブランド力を崩さないために、値下げするくらいなら捨ててしまう」といったメーカーさんもありますが、廃棄はとても残念なことです。 企業様向けのアピールポイントは、当社は1点でも気軽にレンタルできますということ。 また、利用者の方には、bristaであれば、気軽に品質の良いものを楽しみ、さらに買うこともできることをお伝えしていきたいです。

洋服の価値を損なわずに、メーカーもお客さんもどちらにとっても嬉しいサービスを展開していくbrista。 後半では、高橋さんが起業を決めた経緯やスタートアップに欠かせない資金調達について、深掘りしていきます。

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