header logo

LAMP

株式会社ランプ

河野匠

選択と集中、これは絶対に必要。
勇気を持って絞る選択肢を。

前編に引き続き、株式会社ランプ代表取締役CEOの河野匠さんにお話を伺いました。 後編では、自社サービスとしての開発への思い、受託から一歩踏み出したい人に向けたメッセージをお届けします。

自社サービスをやりたい。挑戦し続けた受託時代。

起業間もない頃から、自社サービスをやりたいとの思いを抱いていた河野さん。 自社サービスの開発にも挑戦し続けていました。

ただ、どうしても前提として「受託をやりながら」という形になります。 会社の体力もなく、受託で収益を回しながらと取り組むことしかできない状態。 結果的にどれも中途半端で、今、世の中に残っているものはありません。

新サービスを作るにあたっても、人件費は発生します。 どうやって人件費を稼ぐのかと考えると、受託の存在は貴重です。

ある程度まとまった資金をガッと注ぎ込めるならまだしも、起業して受託を続けている状態では、難しい。 ながら運転でやり続けるけれど、結果的にうまくいかない。 受託時代は、そんな感じでした。

コロナ禍の中で生まれた、「テイクイーツ」。 ただ、仮にコロナがなかったとしても、何らかの形で挑戦は続けていたと予測。

受託と並行する形になっていたかもしれませんが、何かしら挑戦はしていたと思います。 テイクイーツは、私自身が消費者として感じた課題から生まれたもの。 もし、テイクイーツをやっていなくても、他の場面での気づきやお客さまからのヒアリングを元に、動いていたはずです。 また、受託を続ける中で、スタッフさんにも恵まれ、自分自身が現場でバリバリ動くことも少しずつなくなってきていました。 計画を考える時間ができたことは、大きいです。

テイクイーツを始めることができたのは、河野さんがほとんど現場に携わっていない状態をチームが作ってくれていたから。 だからこそ、すぐに資料・計画を作り、2ヵ月でリリースすることができたとも言えます。

SNSのDMを通じて、VCと出会う

VCの多くは東京在住。 河野さんも、つながりがないため、SNSなどのDMを活用。 シードラウンドから入ってもらった独立系VCのANRIさんとの出会いも、TwitterのDMでした。

自分も営業経験があるため、送る文章もきちんと考えていました。 DMの返信率は100%。 当時のテイクイーツは、リリースから半年くらい経ち、店舗数が200くらいに増えていましたが、まだ収益にはなっていません。 一から資本政策などを勉強しなおして、有名なVCにDMを送っていました。 たまたまご返信いただき、前向きに検討いただいたことが、今につながっています。 その後、既存の株主さんからの紹介や東京に行ったときに生まれたつながりなどから、今は、いろいろなVCとコミュニケーションをとらせていただいています。

1回目には総額1億円、2回目も同額調達した河野さん。 リアル(対面)のイメージが強い、VCとの面談ですが、現在はほぼオンラインで話が進んでいるといいます。

基本的に、お話しするのはZOOMです。 2回目以降に出資していただいたVCの中には、まだ1度もリアルでお会いしていない方もいます。 ある種、このコロナ禍の中で、地方に暮らす私たちのようなベンチャーの可能性が広げられたと感じます。

失敗はノーカウント。

VCからの調達、サービスの拡大などかなり順調に進んでいる印象です。 河野さんには、失敗を「失敗」とカウントしない、前向きな姿勢がありました。

踏み込んで挑戦すると決めたので、基本的に前だけ向いてやるようにしています。 「こうしておいたら良かった」と思ったことも、もちろんあります。 でも、もう過ぎてしまった話。 失敗は失敗だと思っていないため、ノーカウントです。

国もスタートアップを支援するといった話も出ている今日のこの頃。 ただ、河野さんのようなケースは珍しい印象です。 新しく法人を作らず、既存の会社で事業内容を変更。

受託時代に培った信用で、銀行からご融資いただきました。 また、今、新規事業を始めるときにも、ご融資いただいたんです。 新しい法人としてスタートアップをする場合には、なかなかないケースかなと。 もちろんVCから資金を調達する方法もあります。 ただ、これまでに培った信用を使って融資をいただく。 その上で、最初にヒットするかどうかの試験運用をやってみるのも、正攻法のひとつではあるのかなと。

受託の一歩先に進むなら“選択と集中”が必要

当時の河野さんのような人、「自社プロダクトをつくりたい」「受託から一歩踏み出したい」と考える人に対して、今だから伝えられるアドバイスはありますか。

一言で言うと、「選択と集中」は絶対必要です。 受託を縮小したりやめたりすると、売上がなくなる。 かなり勇気が必要な意思決定です。 でも「集中する」「絞る」ことは、事業の成功確率を大きく変えるものだと思います。 もしも今、過去の自分にアドバイスするなら「勇気を出して、絞る」ということを言いたいです。

受託をやめて、新サービスを作るために頑張れというアドバイス。 当時の河野さんが「でも、種銭がないじゃないか」と言ったら、どうでしょうか。

VCを回ろうと言います。 VCに会いに行くなど、何か行動を起こしていけるかどうかで変わるはず。 実際、受託していると納期があり、受託の優先順位が上がってしまう。 これも新サービスに大きく足を踏み入れられない理由のひとつ。 そういう意味でも、絞ることで、何か新しい方法が出てくるんじゃないかと思います。 勇気を持って一歩踏み出す、イケると思ったら集中する。 そうすると、どんどん楽しくなって、のめり込んでいく。 その先に自分のモチベーションが落ちることは、まずないと思います。 ただ、事業が伸びるかどうかは、努力次第・環境次第のところもあります。 だからこそ、一概には言えません。 でも、チャレンジしたい方には、最初の一歩について伝えたいです。

前編を見る

Youtubeで見る