LOMORE
合同会社LOMORE
南澤裕章
自分の行動で何かが変わる
先輩起業家だから話せる体験談
今回お話をお伺いしたのは、 滋賀のローカル情報発信WEBメディア「LOMORE」を運営する南澤裕章さん。 後編では、先輩起業家のリアルな失敗談や起業してよかったこと、 起業を目指す人へのアドバイスについてお話を聞いてきました。
先輩起業家だから話せる「失敗談」!市場調査不足
まず、僕の事業の柱はECサイト、ネットショップの運営です。 その売上をWEBサイト「LOMORE」に回しています。 失敗談としては、ネットショップの商品を仕入れすぎたこと。 商品が余りすぎて、一部屋丸々在庫で埋まりました。
2年以上経過したものの、商品は動かないまま。 最初は売る方法を考えたものの、どうしても売ることができず今は諦めのフェーズに入っているとのこと。
最初、売り先が決まっている状態で売上があがったんですよ。 「これはいけるんじゃないか」と思い、市場調査せずに進めてしまったことが致命的なミスでした。 市場調査の重要性を痛感しました。 だからこそ、現在のメディア運営やWEBサイト制作にも、ニーズ調査、市場調査に関しては、かなり時間を割いています。
ローカルメディア運営に関しては、100%SNSから情報収集をしているそう。 求められていることや流行を調べ、ニーズに合ったことをやる。 やりたいことはその都度変わるからこそ、やりたいことに合わせて調査内容を変えることが重要。
仕入れすぎて在庫を抱えた経験がなければ、 もっと簡易的な市場調査で済ませていたかもしれません。 でも、これはきっとどのビジネスでも行き着く失敗のひとつだと思います。
起業してよかったと思う点は、直接自分に反響があること
起業してよかったと思うのは、よくも悪くも直接自分に反響があること。 サラリーマン時代と比べ、ダイレクトに反応がある違いは大きいです。 悪い反響だとしても、落ち込むよりも修正のポイントや気づきのチャンスと捉えています。 自分の行動も自分で決められる。自分の行動で人が喜んでくれる。 世界は変えられなくても、自分の行動で何かがちょっと変わる可能性がある。 これは起業したからこそわかる喜びだと思います。
一方、起業には継続の難しさも。 実は「LOMORE」の内容も、始めたばかりの頃と比べると大きく変わっています。 最初は開店・閉店情報が中心でした。
WEBサイトを始めても、すぐには認知されません。 これは、精神的にもしんどいところ。 でも、自分が好きなことをやる。無理しない程度に頑張る。 そしてとにかく長続きさせることが大事。 そして他とかぶらないように、自分の好きなことに特化する。例えば、食べることが好きならグルメ。 写真が好きなら風景やおすすめの観光スポットを紹介するとか。 そうやって自分の色をつけたメディアを運営することが大事かなと思います。
「起業家同士のつながり」があれば、滋賀県の起業家はもっと活性化する
起業家同士、移住者同士のつながりが生まれる環境が圧倒的に少ない。 起業家、県内で起業したい人が集まれる場所。 スタートアップの段階で情報交換ができる場所。商工会議所とはまた別の場所が必要。
特に最初は、精神的なしんどさもあります。 その辺りを支え合える仲間づくりが必要なんじゃないかな。 僕の場合は地元が滋賀県ですから、まだ話せる環境がありました。 でも移住となると、一人で滋賀に来ることも考えられます。だからこそ場所が必要。
学生時代から人と人とをつなぐことが好きだった南澤さんが、 場づくりをより具体的に意識し始めたのは、取材先から「こんな人いない?」と相談を受けることが増えたから。 「もちろん、いるときは紹介できますが、心当たりがなくお断りすることも。
それって、すごくもったいないじゃないですか。 起業する人が増えて、包括できる仕組みをつくっておいたら、お互いが助かる。 せっかくいろんな人にサイトを見ていただいているなら、 これからプラットフォームのような場所にしていこうかなと。
先輩起業者から未来の起業家へのメッセージ
やっぱり、しっかり市場調査すること。そしてニーズを知ること。 「需要と供給」といいますが、まずは需要があるかどうかを調べることが大事だと思います。 僕も「起業したい」という人の話を聞く機会があります。 でも、かなり壮大な目標だったり、現実的とは言い難い内容だったりするんですよ。 その状態からいきなり最終ゴールを目指すのは、ちょっとギャンブルのようなことになってしまう。 まずは自分のできる小さいことから始める。 特に地域で起業するなら、まずは地域に根付くようなことを始める。 そして自分を知ってもらう、といった形で段階を踏んでいくのがいいかなと思います。