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tiwaki

株式会社tiwaki

阮翔

最先端の精度を持つAI、リアルタイムで動く画像認識技術。
それをエッジコンピュータで動くものを開発しています。

今回お話をお伺いしたのは、株式会社tiwaki代表取締役社長、阮翔(ゲンショウ)さん。事業の内容や地方での人材確保について、さらに今後のビジョンについてお話を聞いてきました。

人間と同じ映像・画像認識能力を機械に持たせたい

AIの画像認識分野の開発に特化している「株式会社tiwaki」。 人間の場合、映像や画像を見た瞬間、人、車、カメラなど、目に映る物を認識することができます。 さらに、表情や感情も読み取ることが可能です。一方、機械にとっては、映像も画像も全て0と1の信号に過ぎません。

私たちが取り組んでいるのは、機械に対し、人間と同じような映像・画像の認識能力を持たせる技術です。 アルゴリズムを作る技術に特化して開発し、技術のライセンスとして企業に提供しています。

顔認証や顔検出の技術は、すでに世の中に生まれています。特にアメリカ企業、中国企業は、世界トップの技術を次々とリリース。 例えばアメリカならGoogleやFacebook、中国なら、百度(バイドゥ)など 。阮さんによると、これらの企業には、インターネット、クラウドに関連するといった共通点があるそう。

Google検索には、写真、動画、YouTubeと色々な種類があります。基盤となる技術が、画像認識技術です。 無償のオープンソースとしてリリースすれば、みんなが使いますよね。これらの技術は全てクラウドで動くため、同時に、彼らのクラウドサービスのユーザーが増える。 こういう仕組みです。

また、アルゴリズム技術には、「精度」「計算速度」の2つの指標があるといいます。 例えば1万台の車の画像から、何台「車」だと認識できるのか。数が多ければ多いほど、精度が高いと言えます。そして、計算速度は、ソフトウェアが動く速度のことです。

ただ、速度は、計算マシンのスペックによって変わります。 仮に同じアルゴリズム、同じソフトウェアだとしても、ハイスペックのマシンなら速く、ロースペックのマシンなら、それなりの時間がかかります。

大手インターネット企業には、膨大なクラウド、そして無限大の計算能力があるため、リリース後は、精度を重視する傾向が強いそう。 クラウドで運用することが前提のため、計算がどれだけ複雑になろうとも問題ないとの考え方です。

AI技術の人間社会浸透を目指す

資金面に余裕があり、クラウドで運用すればいいと考えるお客さまばかりではありません。 「予算が厳しい」「高価なクラウドを使うのは難しい」との声もあります。 また「ロースペックなマシンだが、最新の技術が使いたい」「ネットワーク環境がない状況下でも使いたい」といった現場の意見もたくさん存在しています。

いくら精度が高くても、計算マシンのスペックが低ければ、速度は遅くなります。 アルゴリズムメモリ量の消費が大きくなれば、そもそも使えないといったケースも少なくないといいます。

ただ、人間社会には、さまざまな現場が存在しています。 現場のアプリケーションが、AIを使えなければ、「AI技術が人間社会に浸透している」とは言えません。

ロースペックのマシンを使うことを、エッジコンピューティングと言います。 ここでのエッジとは、インターネットではなく、現場です。 インターネット環境も悪く、使えるマシンのスペックも、すごく低い可能性があります。

その状況下でも、最先端の精度を持っているAI、画像認識がリアルタイムで動くなら、市場ニーズがあるはず。 我々は、それを目指し、画像認識の現場の技術を開発しています。 全部エッジで動けるような技術を開発しているのが、我々の会社の特徴です。

最初から阮さんは、エッジコンピューティングで最先端の画像認識技術が使えるアルゴリズム開発を視野に入れていたそう。

画像認識は、すでにGoogleなどのモンスター企業が多く手掛けているんですよ。 我々は、これから頑張ろうとしている、小さなベンチャー企業。「Googleを倒す!」みたいな立場(笑)。 もちろん難しい取り組みです。そのため、直接戦うのではなく、違うところでずらして勝負しにいきます。 そうして画像認識技術の構築を目指しています。

私たちが求めるレベルの人材は、ロケーションにこだわらない。

滋賀県で起業。優秀なエンジニアを集めるのは、かなり苦労したのではないでしょうか。 「滋賀県をはじめとした地方には、人材が少ない。人材は、大都市に集中している」との意見について阮さんの意見を聞いてみました。

我々のコアメンバーは、元々ずっと一緒に仕事をしていた人たち。 画像認識のトップシェアのソフトウェアを開発したコアメンバーが、偶然つながってスタートした形です。 地方には人材が少ない。これは、間違いないと思いますが、人材の定義にもよります。 偉そうな発言になりますが、我々が欲しい人材は、東京にもそんなにいません。逆に、私たちが求めているような人たちは、ロケーションに対して、あまりこだわらないと思います。

「東京じゃないと自分の能力が発揮できない」など、ロケーションにこだわる人は、求めている人材のレベルに達していない。 今の自分の能力、これから発揮できる能力に対して、自信を持っている人は、大体ロケーションにこだわらないとのこと。 また、メリット・デメリットも、個人的な感覚によるところが大きいようです。

私は結構滋賀県が好きです。 出身は中国の北京ですが、私が住んでいたのは、静かなところ。静かなところが好きなので、滋賀県が好き。 私にとっては、メリットがあります。

一方、都会を好む人にとっては、滋賀県はデメリットしかないでしょう。 ただ、メリット・デメリットを先に考えるよりも「この土地で仕事をしても大丈夫」と思う人が集まる。その流れが自然だと言えそうです。

もちろん、そう言いつつも、ビジネスチャンスは、地方よりも東京や大阪の方が多いことは、間違いないです。そういう意味では、デメリットはあります。ただ、何をやっても、どこでやっても、メリットとデメリットはあるでしょう。だから、ロケーションにそれほどこだわる必要はないと思います。 そもそも、開発自体は、パソコンとインターネットがあればどこでもできますから。我々は、エッジAIのエッジ画像認識のプロバイダとして、成長していきたいと思っています。あくまで提供しているのは、アルゴリズム。 作った技術は日本国内、あるいは世界に発信する。 そんな企業を目指して成長していきたいです。

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