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前編に引き続き、ANTELOPE(アンテロープ)株式会社代表取締役福井駿さんにお話を伺いました。

後編では、学生時代のことや、これまでの事業の中で最も大変だった出来事をお届けします。


「夢の車をつくりたい」から「自分が一番のユーザーになれる商品づくり」へ


高校時代、車が大好きだった福井さん。

将来は「設計士になって自分の理想の車をつくりたい」と、大学進学時に工学を専攻。

夢を抱いて大学に入学するも、先輩たちに混ざって参加した大手自動車メーカーの会社説明会で、衝撃を受けることに。


会社説明会では、先輩エンジニアが仕事について語ってくださった。

「僕は車をつくりたいです。つくるためにはどうすればいいですか」と質問したところ「車は、何万人という人が携わってつくるもの。だから、自分の好きなものをつくるのは、難しいかもしれない」との答えが返ってきました。

その先輩たちがつくっていたのは、部品のキャブレター。

でも、僕は夢の車をつくりたい。キャブレターをつくりたいわけじゃない。

そのためにエンジニアになる?いや、無理だと、大学卒業までずっと悩んでいました。





自分のやりたいことが、すぐに見つかるわけではありません。

ただ、その状況の中でも、福井さんの「車をつくりたい」「モノづくりをしたい」という気持ちだけはブレなかったといいます。


「自分で全部をつくるためにはどうすればいいのか?」と考えました。

その結果、たどりついたのは「会社をつくればいいのかも」ということ。

ただ、今振り返れば、つくりたいもの自体は、どんどん変化しています。





その言葉通り、福井さんはすぐにビールの世界にたどりついたわけではありません。

大学卒業後には、東京大手町で金融関係の仕事に就職。


直近での自分のやりたいことはわからない。

ただ、会社を設立するには、お金の知識は必要です。

また、勉強する中で知的好奇心も満たされ、金融関係は、面白い世界だと感じるようになりました。





ただ、福井さんのモノづくりへの気持ちは強まる一方。

そこで、2社目は、ITベンチャー、スタートアップヘ。

アプリをつくる会社でしたが、自分がそのアプリのユーザーではなかったため、情熱を持ち続けることに苦戦。


社会人5年目になり、会社員として働く中で思ったのは「自分が一番のユーザーになれる商品を作ろう」ということです。

自分が試してみて、本当にいい、悪いが言えるものじゃないと、作り手としても良くならないなと思いました。

自分は何が好きかと考えて出た答えが、お酒でした。

お酒をつくっている人は、大体「お酒が好き」から事業を始めている気がします。僕もご多分に洩れず、同じです。





どちらも本業。2足のわらじ。社外からの刺激。


かなり初期投資がかかる印象のクラフトミード。

ただ、福井さんは、資金繰りの計画自体をかなり綿密に立てていました。

モデルを組み、どの段階でキャッシュアウトがあるかなど、最低限の内容はクリアしていたといいます。


正直、事業がうまくいくかどうかはわかりません。

でも、起業家は、誰しも「現金が尽きそう。ヤバいな」とヒリヒリするようなことがあるんじゃないかと思います。

もうそれは、自分で数字をつくるしかありませんよね。

ただ、僕は東京の会社でも働いているため、ANTELOPEから自分への給料は1円も払っていません。

それでも最低限、自分の生活は大丈夫という状況。

もちろん社内スタッフに対しての給料は、しっかり払わないといけない。こちらはしっかり工面できるようにしています。





ブランドビジネス自体、認知してもらうまでに時間がかかるもの。

そして、広告を打ったからといってブランドの価値が高まるわけではありません。

少しずつ認識してもらい、良いものだと感じる人が増えて、拡まっていく。


僕たちは、買う気もない人に押し付けることはしたくありません。

この心の余裕は、自分でお金を稼げるから得られるものだと思います。

僕は、幸い今も外部で働いています。

経済的な面でも能力的な面でも、社外で働いている方が刺激を受けることが多いです。

2足のわらじですが、どちらも僕にとっては本業だと思っています。





事業として滋賀を選んだ理由。何もないところが、いいところ。


滋賀県で事業を営む場合には、東京に比べて家賃が安いなど事業的に有利な面もあります。

ただ、それ以上に、アウトドアが好き。自然豊かなところが好き。

福井さんが滋賀を選んだ理由は、その点にありました。


滋賀は、何にもない。でも、何にもないところがいいところの証明。本当にそこがいい。

あと、一番大きな理由は、やっぱり地元だから。両親も近江八幡に住んでいます。

両親の近くで事業を始めたら、いつでも面倒を見ることができます。あ、面倒も見てもらえます(笑)。





工場は、2016年に閉業したパン工場の建物。

福井さんが滋賀県中を車でめぐっていたときに、一目惚れした物件です。


貼り紙を見て大家さんに連絡しました。

「ぜひとも、チャンスをもらえませんか」とお願いしたら、「若いもんがやるんなら、応援するで」と言っていただいた。

今もすごく良くしていただいています。





逃げない、モノづくりに対する姿勢を曲げなかった誇らしい選択


最後に、事業を始めて最も辛かった、大変だと感じたことについてお伺いしました。


2021年9月に、最初の商品が完成しました。

ただ、発酵が止まっていなかったため、当初想定した味わいとは全く別物。





納得いかない出来栄え。

ただ、当時はお金もなく、これから売上を立てなければいけない厳しい状況。


でも、「これは売ったらアカン」と判断し、1,600リットルを廃棄しました。

本数で言えば、2,000本以上。

今振り返っても、生半可な気持ちではできない行動。商品へのこだわり、強い意識があったからこそできたこと。

だからこそ、今となっては、その判断ができたことが誇らしいです。





初めに飲んでくれるお客さんを失望させたくないとの思い。

そして、初めてクラフトミードを飲んで「なんだ、こんなものなんだ」と思われることは、業界全体にも悪影響だと判断。


本当に辛かった。みんなで死にそうな顔をしながら、全部捨てた覚えがあります。

でも、そのまま暗い気持ちで帰宅するのが嫌で、手伝ってくれたスタッフみんなで焼肉に行きました。

こういう辛いときこそ焼肉を食おうって。これが事業をやっていて、一番辛かったときです。

でも、逃げた選択をしなかったこと、モノづくりに対する姿勢を曲げなかったこと。これは、今後ずっと活きていくと思っています。

モノづくりは、気を抜いた瞬間に、よくないものを出してしまう。

だからこそ、最初の判断、気持ちで、ずっとやっていきたい。そして、常に未来で幸せな状態になるための選択をしていきたいです。





東京の事業委託をしながら、滋賀県で新しい価値を作り出していく。

福井さんの働き方は、これからの時代の、新しい働き方のひとつだと感じました。


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