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HATAKENOMIKATA

株式会社はたけのみかた

武村幸奈

未来の農業のために
自分で考える
武村流乗り越え方

前編に引き続き、「株式会社はたけのみかた」代表取締役の武村幸奈さんにお話を伺いました。 後編では、武村さんの学生起業のきっかけや、事業を営む中で壁にぶつかった際の乗り越え方などをお届けします。

自分で考え、自分でやる。学生起業決意の瞬間

昨今増えてきた印象のある学生起業ですが、武村さんが起業を意識したのは、大学1年時。 就職氷河期の中で、就職活動をする先輩たちの姿。 テレビに映し出されるリクルートスーツを着た人たちの姿を見て、武村さんの心に生まれたのは違和感でした。

それから「自分は、これからどういう生き方をするのか」を考え、「自分で考えたことを、自分でやる」と決めたことが、起業を目指したきっかけです。 起業を考えていることを話したのは、一部の友人くらい。 大学3年時に就活が始まり、みんなが一斉に黒髪、スーツに切り替えたときも、私は茶髪でロングの外見のままでした。 周囲からは「あぁ、就活しないんだな」と思われていた気がします。 ただ、この時点では、起業を目指しチームとして動いていたものの、事業内容は決まっていない状態。 「起業したがっているけれど、何も決まっていない人たち」という感じだったかもしれません。

大学4年の秋に開業届を提出した武村さん。 もともと、学生の間に起業すると、メディアに取り上げてもらいやすいと考え、在学中の起業を意識。 想像通り、学生起業に対する取材が殺到。 事業内容や想いに関しても、発信する場が設けられたことは、とてもよかったといいます。

在学中に起業したため、私には社会人としての就職経験はありません。 「就職しておいたらよかった」と思ったことは一度もありませんが、社会人としてのマナー、知識不足を実感することはあります。 最近、社会人1年目に向けたマナーの本を買いました。 これまで感覚で進んできたので、今、改めて学び直しています。

壁にぶつかったときの「武村流乗り越え方」

起業家としても順風満帆に感じられる武村さんですが、課題が生まれたり、壁にぶつかったりしたときには、どのようにして乗り越えてきたのでしょうか。

壁にぶつかったり、大変なことが続いたりすると、一般的には戦略側の話になりやすいと思います。 商品の改善や広告など、どうしてもテクニックの話になりがちです。 でも、壁にぶつかったときこそ、もともとやりたかったことや、これから何をするかといった大きなところから、俯瞰的に物事を見ます。 そうすることで「じゃあ、今は何をするべきか?」が見えてくる。そして、改めて整理していくことを大事にしています。

会社員の場合は上司や先輩に相談し、乗り越え方を学ぶケースもあります。 ただ、武村さんの場合は、自分で考えることが基本形。

学生起業ということもあり、学生時代には、先生方に支援していただきました。 今も、数年に1度、先生とお会いして近況報告をすることがあります。ただ、やはり自分で考えることが多いです。

誰かの言う通りの形にすると、スムーズに進むかもしれません。 ただ、人の意見だけで決めてしまうと、「その会社は一体誰の会社なんだ」ということにもなりかねない。 個人的意見として、会社の軸は、代表、創業者が決めるべき。 例え乗り越えるために時間がかかったとしても、軸がブレないことが大切だと思います。

そう、問題を乗り越えるのはすごく大変です。 役員、社員、従業員の方も、不安になってしまう。 でも、私がしっかり軸を持ち、自分の考えを自分の言葉で伝えることが、安心につながると思っています。 やる気やモチベーションにも直結します。 自分の言葉、自分でつくったやり方であることが大前提です。

未来の農業のために、次の一歩を踏み出す

創業当時から「はたけのみかた」に関わっている人は、武村さんの思いを十分理解していると思います。 一方、新しい人が増える中で、考え方や思いを浸透させるために何か取り組んでいることはあるのでしょうか。

難しいですよね。 ただ、もともとメディアなどで事業内容や想いを調べた上で、応募してくださる従業員さんもたくさんいらっしゃいます。 その上で、今、私自身の言葉で改めて伝える機会を設けています。 最近は、従業員さんに向けたプレゼン資料をつくり、お話しました。 その後「シール1枚貼るときにも、意識が変わった」との言葉を聞き、すごく嬉しかったです。 今後も定期的にこういった機会を設ける予定です。

最後に、5年後のビジョンについて教えてください。

「はたけのみかた」の社名は「農家さんのためになる」との想いを込めて決めました。 今、農家さんの収益をつくるための仕組みづくりは、かなり進んでいます。 だから、ここからは、未来の農業を残すために、もう一歩踏み込みたいと思っています。 例えば、農家さんの定着率を高める。新規就農者を増やす。 滋賀県の有機農業ブランドを俯瞰して見たときに、はたけのみかたとして大きく携わっている状態に向け、これから進んでいきたいです。

最後のビジョン実現に向けて動くことで、当初の農家さんが抱える課題が解決できる。 さらに、野菜の収量自体が増えることで、供給以上の需要といったバランスの問題解決にもつながると感じました。 武村さんと僕は、同じ湖南市出身。武村さんを湖南市の星だと思っています。これからも期待しています!

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