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EVCARE Corp.

株式会社イヴケア

五十棲 計

学生起業のチームづくりに大切なことは
「ビジョン」と「価値」

前編に引き続き、株式会社イヴケア代表取締役社長兼CEOの五十棲計さんにお話を伺いました。 後編では、起業当時に意識した「学生起業家」のラベルのことや失敗談、これからチームで学生起業を目指す方へのメッセージをお届けします。

「学生起業家」のラベルを剥がし、自分らしさの発揮へ。

五十棲さんの場合、一度も就職せずに起業しています。 メールの送り方や名刺交換の仕方など、ビジネスマナーを学ぶ機会がなく困ったことも。 また、「ベンチャーの社長」に対し、破天荒なイメージがあったことから、礼儀正しさとフランクさとの使い分けにも悩んだそう。

最初の1年は、特に悶々としていました。 周りの思惑と自分らしさに対して、悩むことも多かったですね。 でも、事業が進むにつれ、自分も成長できていると感じることが増えました。

「学生起業家」は、ひとつのブランドであり、アイデンティティでもあるという五十棲さん。 最初の1年は割り切って、自己紹介でも「私は学生起業家です」の言葉から入っていたといいます。

ただ、事業を進める中である程度実績がついてくると、自信が生まれます。 少しずつ、あえて学生起業家だと伝える必要がなくなる。自分らしさの核が徐々にできあがる感覚です。 今は、イブケアの代表として、自分が目指している社会など別の角度から語れるようになりました。

特殊な関係性。今も、チームとしての働き方を試行錯誤。

五十棲さんの起業チームは、かなり特殊なケースです。 学生ベンチャー立ち上げ時のメンバーは、学生時代に指導してくれていた先生と同じ大学の先生。 先生に対し「この仕事をやってください」とは言えず、全部自分で引き受けていた時期もありました。

自分の中で仕事を溜め込んでパンクすることも、何回か繰り返しました。 どうすればちゃんと仕事を進めていけるんだろうと、何度も考えました。 自分が無理をしすぎず、仕事を回していくための方法は、今も試行錯誤している最中です。

例えば新入社員の場合、入社後、チームでの働き方を学ぶこともできるでしょう。 しかし、五十棲さんの場合は、実践と失敗を繰り返しながら、チームとして仕事を円滑に進めるための方法を学ぶことになります。

ただ、サラリーマンを経験した方が良かったと思うか?と問われると、正直よくわかりません。 ただ、1回サラリーマンとして働いた後に、改めて会社を立ち上げようとは思わなかったかもしれません。 あまり深く考えずに行動できた。あのテンションは、学生特有のものだと思います。 最初の一歩を踏み出せたのは、学生という時期が大きかったのだと思います。

「契約」の重要性、スピード感との勝負

研究職関係のスタートアップに関する困りごとについて質問したところ、「契約」との答えが返ってきました。

最初は「そもそも契約って何をするの?」という段階。 例えば、法律のことも、一体誰に相談すべきなのか、よくわからない状態です。 すごく悩みましたし、実際に契約した後で、間違いに気づいたり、これはあまりよく良くない契約方法だと感じたりすることもありました。

いろいろなツテを使い、さまざまな人から教えてもらったり、自分で繰り返したりしながら学んできた五十棲さん。 専門的な内容に関しては、今も弁護士の先生に見てもらっているところです。

ただ、最終的にはスピード感との勝負です。 遅れたことでタイミングが合わず、契約できないこともあります。 だからこそ、自分で見る部分と専門家に任せる部分の線引きも大事です。 何回も契約書を見てきたからこそ、自分が対応できるスピード感についても、考えるようになりました。

全ての企業と運命共同体になる必要はない。

ベンチャー企業ということもあり「できますか?」と言われたら、基本的に「できます」と回答してきた五十棲さん。 「オールイエス」の体制です。 ただ、その一方、自分たちが持っているリソースで実現できるかという課題と向き合うことに。

自分たちとしても、かなり大変な思いをしながら取り組むこともありました。 今は、相手のしたいこと、当社のベンチャーとしてしたいことを踏まえ、本当にリンクしている場所を見極める大切さを感じています。

そもそも、全ての企業と運命共同体になる必要はありません。 相手企業のやりたいこと、五十棲さんたちがやりたいことが一致しているときに、一緒に取り組んでいく。 そういった話の仕方、提案の仕方をすることで、お互いがwin-winになり、気持ちよく仕事ができることに気づいたといいます。

当初、依頼件数が少ない時点だと、自分たちのリソースを全て使ってやることもできます。 でも、件数が増えてきたとき、自分たちができる範囲をしっかり伝えることはとても大事だと思いました。

「チームの意思決定」の重要性。細かな話し合いで軌道修正。

同じベンチャー企業でも、1人で立ち上げる場合、チームを組んでやる場合、それぞれ異なるメリットがあります。 1人なら、自分の思い通りに進むことができ、スピード感のある対応が可能です。 その一方、他の人のリソースを求める際や、違う内容の展開をする際には、チームである強みを活かすことができます。

チームは、意思決定がすごく大事。 自分1人の決定ではなく、「これが、チームの意思決定です」という部分を、どのように作っていくか。 その難しさを、4年目に入った今、実感しています。

五十棲さんが特に力を入れているのは、会議の数を増やすことです。 月に1回しか会わない場合、個々のメンバーが、自分のしたいことだけに目を向けてしまう可能性も。 その結果、みんなで決めたレールから、知らず知らずのうちに逸れてしまうことも考えられます。

細かいスパンで話し合いの場を設けることで、ちょっとズレた段階で修正することができます。 またちょっとズレたら修正。その繰り返しを、みんなの意識の中でやっていくといいんじゃないかなと。 もし、実際に集まることができなくても、Slackなどのツールを活用し、細かく意思の確認をすることが大事だと思います。

学生起業のチームづくりに大切なことは「ビジョン」と「価値」

最後に、五十棲さんに学生起業かつチームで物事を進める上でのアドバイスをお伺いしました。

一番大事なことは、ビジョンをちゃんと決めること。 自分たちは、何を目指すのかという部分です。 言葉にして、それぞれの頭の中に共通のイメージを描くことが大切。 目指す規模がイメージできれば、スモールビジネスなのか、もっと大きなビジネスが必要なのか、具体的に見えてくると思います。 その上で、ビジョンに対してどんな価値をつくっていくのか、考える。

五十棲さんが重要視するのは、ビジョンと価値です。 その上で、価値づくりにどのような仕事があるのか。誰がどの役割を果たすのか。順番に確認し、決定。 常に細かく確認し、ズレを修正しながら進める大切さを説いてくれました。

本当に全員が「自分たちがしたいこと」を共有できているのか。 これが一番の課題です。 チームの目的意識が明確であれば、自分は何ができるのか、今不足しているのは何か、こういった部分が見えてくる。 その上で、さらに具体的に考えていけばいいんじゃないかと。 リソースを考えるのは、その後だと思います。

大切なことはビジョンと価値。お話中に五十棲さんが例としてあげて下さった「自分たちがつくりたい世界には、どのような部品が必要かを考える。そして自分たちで部品をつくる。」の言葉は、とてもイメージしやすくわかりやすかったです。イヴケアが5年後、2027年に10億円の市場、をつくる経緯も含め、楽しみにしています!

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