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EVCARE Corp.

株式会社イヴケア

五十棲 計

滋賀県内で市場をつくり、横展開を。
目指すのは研究の知財をしっかり活用した事業モデル。

今回お話をお伺いしたのは、株式会社イヴケア代表取締役社長兼CEOの五十棲計さん。 滋賀大学発の大学ベンチャー第1号であり、髪の毛からストレスを評価する技術を活用し、技術の社会実装を目的とする会社です。 起業のきっかけや事業内容、今後のビジョンについてお話を聞いてきました。

「隣にいる学生が起業したら?」の言葉に即答。

イヴケアでは、ストレスがかかることで分泌されるホルモンを分析し、心の状態や生活習慣などの情報を得る技術を活用。 事業は主に「企業や大学教授の研究サポート」「主観評価と毛髪分析を組み合わせた企業のストレスチェック」の2種類です。 今、活用している技術自体は、現在CTOを務める先生の研究によるものですが、そもそも起業のきっかけは何だったのでしょうか。

イベント時、先生が技術について話している隣で、私は食事をとっていました。 技術を使った起業を勧められた先生が難色を示したところ「じゃあ、隣の学生が起業したらいいんじゃないですか?」と、私に話が振られたんです。 そこで「わかりました、やります」と答えたことが、起業のきっかけです。

五十棲さん主体の研究ではないものの、同じ研究室に所属する先輩の研究を手伝うこともあり、元々「面白い技術だ」と感じていたことが決め手に。 五十棲さんも人の心理的な状態を測定することに興味があり、「技術を使って、何か面白いことができそう」と感じたテンションのまま、代表を承諾

最初に話を聞いたのは、2018年3月。そして2019年1月に会社を設立。 会社設立に向けて動きながら、同時進行で事業を考える。大学の先生とも話をしながらビジネス化を目指す。 今振り返っても感じる、大事な10ヵ月でした。

イヴケアが目指す「Well-being」。焦点を当てるのは、心。

イヴケアが目指しているのは「Well-being」。 実現するための技術にしていくこと。これを、チームの共通認識に掲げています。

人の体の健康について調べる技術は、かなり一般化していると思います。 ただ、体と心、両方を見ていくことが大事。 髪の毛から分析できる強みを活かし、心の部分によりフォーカスすることが、自分たちの優位性になるかなと。 こう考える中で、心に焦点を当てた事業内容が生まれました。

現在のイブケアは、サービス拡大に向けて動いている段階です。 体験者自体の数が、それほど多いわけではないこともあり、意見を受け取りながら、さらに改良を進めています。

おそらく一般的なストレスチェックのイメージは「自分にどれだけストレスがかかっているか」を調べるもの。 当社のサービスでは、抗ストレス反応も知ることができます。 今、自分がどれだけストレスに立ち向かえているか、また受けたストレスからどれだけ回復できているかを見る指標についても、一緒にデータとしてお渡ししています。

大学発ベンチャーのメリットは、信頼性。大学が窓口となる強み。

2018年7月、滋賀テックプラングランプリに参加し、ファイナリストに選出された五十棲さん。

周囲に促されての参加でしたが、発表に向けて準備を進めることで、事業についてより深く考えるきっかけになりました。 また自分の発言に対して、こんなに賛同してくれる人がいるのかと驚きました。 賛同の声は、事業を続けるモチベーションにつながっています。

さらに、大学発ベンチャーのメリットについてもたずねてみました。

メリットは、信頼性です。 学生が個人で起業した場合、事業内容にどれだけ自信があっても、銀行の人たちに信用してもらうことは難しい印象があります。 あとは、産学連携の人たちからイベントを紹介してもらったり、サポートを受けられたりと、色々な情報が得られることも心強いです。

会社設立時に記者会見を行ったことで、メディアへの出演依頼や取材の申し込みに関しても、大学が窓口となり対応。 これも安心できる点のひとつです。かといって、大学から事業の方向性について指示されることもありません。

基本、自分たちがやりたいようにやらせてもらっています。 あとは、アルバイトとしてお手伝いしてくれる人を探すときも、近くに学生がいるのは、すごくありがたいですね。 ある程度興味を持ってくれていて、かつ時間的に余裕がある学生さんと一緒に話ができる今の環境は、すごくいいなと思っています。

会社として目指す未来。目指すのは、自走できるビジネスモデル

五十棲さんが今目指しているのは、自走できる形をつくること。 研究開発を続け、一気に市場に出すことよりも、自分たちでビジネスモデルをつくり、市場を確立した上で、全国的に大きく広げていく。 そのタイミングで投資を募るイメージを描いています。

まずは自分たちでビジネスモデルをつくりたい。 滋賀県内で市場をつくった上で、近隣地域への横展開を目指しています。

既に大手企業などからの引き合いもあるとのこと。 また、滋賀県内に限らず、メンタルヘルスサポートに興味を持っている方や情報収集に熱心な方からの問い合わせも発生しています。

現在は、共同研究契約として進める形をイメージしています。 目指しているのは、収益を上げつつ、新しく生まれた研究の知財を一緒に使えるような形。 そのためには、どのような契約をするのが良いのか、常に頭の中で考えています。

会社設立時点で「5年後、売上10億を目指す」と答えたという五十棲さん。

現段階で、あと1年強。 達成は難しいので、引き続き5年後、2027年に10億円ぐらいの市場を自分たちで作れるようにしたいです。 現実的な目標です。

前編では株式会社イヴケア創業の経緯や学生起業についてお伺いしました。 後編では五十棲さんのことについてお聞きしていきます。

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