MORIYAMA
守山市役所
宮本市長
起業家1000人を集め地域課題解決の
ハブの役割を守山は目指す。
前編に引き続き、守山市の宮本市長にお話を伺います。 村田製作所の研究開発拠点の誘致、市役所の建て替えに伴う「市民に開かれた庁舎」などワクワクする材料が揃っている中、「起業家の集まるまち守山」としての未来について語っていただきました。
村田製作所の研究開発拠点・市民に開かれた庁舎
令和7年度、JR守山駅東口すぐの場所に、株式会社村田製作所の研究開発拠点が完成予定です。
新聞紙上では、「守山の研究開発拠点は、オープンイノベーションの場にしていきたい」との社長発言もありました。 村田製作所と地元の起業、起業家が議論をしながら新しい製品を生み出していくことへの期待があります。 さらに、いろいろな起業家が集まる仕掛けを考えていきたいです。
さらにもうひとつ進んでいるのは、昭和40年に建設された守山市庁舎の建て替え工事。 経年劣化による建物・設備の老朽化や耐震基準を満たしていないこと などから議論が行われていましたが、すでに着工。令和5年9月、市庁舎が暫定共用の予定です。
1階に多目的ホールの機能があり、1階ロビーは基本的に開放します。「市民に開かれた庁舎」として、議会の議場や委員会室、防災対策室なども、使っていないときは基本的に市民に開放します。 議場でコンサート、民間主体で子ども議会、スタートアップのプレゼン大会など、さまざまな使い方をしていただければとと考えています。
守山を拠点に1,000人の起業家が集まるコミュニティをつくる
起業家のあつまるまち守山として目標は、1,000人の起業家が守山に集まること。 オンライン、オフライン含めて1,000人の起業家が集まるコミュニティを、守山を拠点にぜひつくっていきたいなと思っています。 多様な業種、多様な専門性を持った人たちが集まり、守山を拠点に交流が生まれ、起業家のいろいろな地域、全国の課題解決のハブになる。 守山市だけでなく、ほかの自治体とも連携できることを目指しています。
民間主体のコワーキングスペースの増加。開かれた庁舎。開放的な空間であれば、出てくるアイデアや機運も変わるイメージです。 「起業家が集まるまち守山」は、順調に進んでいて、明確なゴール設定に見えますが、最初から計画通りだったのでしょうか。
計画していたわけではありませんが、改めて将来的にどうしていくのかといった整理を行いました。 村田製作所の研究開発拠点に関しましては、誘致に向けてわれわれが頑張った結果のひとつだと考えています。オープンイノベーションの場になりますから、本当にありがたいことです。
令和5年9月完成予定の庁舎は、市民に開いた場所。 例えば、民間主体で動きにくい場合であれば、金融機関の方、士業の方と起業家が出会える場として、市としてバックアップすることもできるそう。
とにかく一番大事なことは、交流すること。コミュニティをつくり、つながること。 図書館、市役所、さまざまな場面で、コワーキングスペースを運営されているみなさんや起業家のみなさんと共に作っていけたらと思っています。
令和3年、守山市は、株式会社Another worksと協定を締結。 「起業家の集まるまち守山」に磨きをかけるために必要な取り組み、各専門分野のアドバイザーからの指導、さらに得た知見を活かしたコミュニティづくりに力を入れています。
豊かな自然環境を有する守山市で、頑張る起業家を応援したい
守山市は、アウトドアブランド「LOGOS(ロゴス)」と地方創生に向けた連携協定を締結。 テクノロジーの起業から自然環境を活用した持続可能なビジネスの起業まで、幅広い印象です。
特定のジャンルに特化しているわけではありません。「頑張る人を応援したい」「守山を舞台に、何かをやりたい人は、どんどん来てください」というスタンスです。 令和3年10月31日に守山を拠点に開催したトライアスロン大会、「LAKE BIWA TRIATHLON IN MORIYAMA 」。こちらもきっかけは、令和2年秋にトライアスロン専用バイクメーカーCEEPOの田中社長が来庁し「トライアスロンがやりたい」との話が出たこと。 行政としては「お金は出せません。でも、警察署の許認可や行政機関とのつなぎはできますよ」というスタンス。 民間が調整しづらい部分を応援し、具現化につなげた結果、1年で実現できました。 こういったポイントを大事にしているまちですから、やる気のある方は、ぜひ守山に来ていただければと思っています。
利便性だけでなく、豊かな自然環境を有することも守山の特徴のひとつです。例えば、琵琶湖には北湖と南湖がありますが、守山の琵琶湖岸が面しているのは、北湖・南湖の両方です。
起守山市の赤野井湾は、琵琶湖の中で最も水質が悪化しやすい場所です。 しかし、市民が外来植物の「オオバナミズキンバイ」の駆除や、プラスチックごみを集める活動を行ってきました。 さらに滋賀県も外来植物を機械で刈りとったり、水草の除去を行ったりしたことで、環境も著しく改善していますし、淡水真珠が採れるようにもなりました。
さらに令和4年3月11日には、環境フォーラムを開催。 官民連携により、琵琶湖の環境が大きく改善していることに、滋賀県の農政水産部長からも喜びの声が上がっています。
守山から見る北湖は、奥行きのある景色です。左手には比良山、右手には伊吹山や奥島湾も見えます。「滋賀セブンの森」に指定されている、豊かな生態系が育まれている場所です。 素晴らしい場所をうまく連携させながら、より多くの方に来ていただけるように。 例えば、琵琶湖岸の環境を気に入った方は、「琵琶湖マリオネットホテル」に宿泊し、リモートワークや起業への取り組みを行うといったことも考えられます。そういったところまで視野に入れて取り組んでいきたいです。
今まで1個ずつ植えていた種から花が咲き、さらに連携して、花畑のようになっているイメージが浮かびました。 民間側からすると、一般的には、市役所に行ったとしても「予算がない」「担当課ではない」など、受け入れを拒否されるイメージもあります。その中で、要望を受け入れ、1年後に実際にトライアスロンイベントを実施しているのは、とても印象的です。
本当に頑張る人を応援する、そういうまちでありたいなと思います。 人を支援し、なおかつ1,000人集める。そして集まった人たちから、新しいイノベーションが起きることを目指しています。
宮本和宏市長からのメッセージ
守山市は、頑張る人を応援するまちです。 1,000人の起業家の皆さんが集まり、守山を拠点にさまざまな社会課題、地域課題を解決していく、そのハブの役割を果たしていければと思っています。 起業にはエンジニア関係やIT関係、そのほかの業種など、さまざまなかたちがあります。年齢性別関係なく、守山を拠点に、オンライン、オフライン含めてゆるやかにつながるコミュニティをつくっていきたいです。 今は、先行きが見通せない時代です。それでも、未来を切り拓き、誰もが住みよい、SDGsを実践する、そういう国づくり、世界づくりを、守山を拠点に一緒に取り組めればと思っています。