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ONE SLASH

ONE SLASH

清水広行

家業を継いだ途端、
「会社を潰すかもしれない」
乗り越えた先に見えたもの

前編に引き続き、ONE SLASH代表の清水広行さんにお話を伺いました。

後編では、仲間と共に地域で取り組むことのチャレンジや失敗したこと、起業を目指す次世代の方へのメッセージをお届けします。


小さな失敗はデータが取れた感覚、ただ・・・


起業家には「失敗を失敗とは思わない」方が多い印象です。

清水さんも、小さな失敗はほとんど記憶に残っていないそう。

ただ、自然相手の仕事である「RICE IS COMEDY」には、コントロールできない領域も。


たとえば2020年には、「いもち病」が発生しお米の収量が前年の半分になりました。

いもち病は風に乗って伝染するため、どれだけ対応しても防ぎようがないんです。

でも、そういった事態に備えた事業モデル、プランニングが計算できていなかった。

あえて言うなら、小さな失敗です。でも、単なる失敗というよりは、これも必要な経験かなと。



そしてもうひとつ、家業の建設業・清水建設として受けた仕事の失敗談。

元々公共事業がメインのため、Uターンした時点から、受注数の波に対し、ビジネスとしての弱さを感じていたといいます。


僕は建物全般が好きで、建築がやりたくて。

でも、帰ってきたばかりで全くノウハウもない状態。

「建築がやりたい!」の一心で、いろいろ資料をつくってSNSに載せたら、すぐに1件「新築でカフェを建てたいです」と問い合わせがきました。

短期間での問い合わせ、しかも何千万の額の仕事。このときは、めちゃくちゃ嬉しかったです。


しかし、ノウハウを持っていない清水さん。

相手の要望に全て「できます!」と答え続けたことで、費用がどんどん膨らんでいくことに。

今となっては、限界予算からプランニングすることの必要性を実感しているとのことですが、

当時は、要望を叶えることを重視しすぎて、最終的にコンパクトに収めることが困難に。


できると言った手前もありますし、僕自身がやりたいとの思いもありました。

ただ、いざ見積もりをとってみたら、それはもうすごい金額。

でも、すでに始めていた部分もあり、引くに引けない状態。

最終的に、施主さんから「どうしますか。引くなら引いてもいいです」と言われたんです。でも、「やります」と答えました。



損益分岐点を超えたところから、赤字は増え続けるのみです。

対処法としては、できるだけ工期を短くするぐらいの状況。

しかし、どうにか建物の納品までやり切ることができたそうです。


途中で「もう、会社を潰すかもしれない」というレベルに達しました。

自分がこれまでに経験している額じゃないなと。でも、そこで吹っ切れました。

もしもダメなら、全員で各方面、下げられるだけ頭を下げにいこうと。

最終的に、本当にギリギリの状態で踏みとどまりました。RPGで言えば、瀕死の状態でしたね。



明るく話す清水さんですが、

この件に関しては「途中からずっと、終わってからも、今も、完全に失敗。お金が戻ってきてほしい」と言うほど。

しかし、自分の糧になったこともあるそう。


金額に対する耐性ができました。自分たちのスタッフが何かをやらかしたとしても、大丈夫。

「むしろ、やらかしてこい」と言えるくらいになりました。もっとピンチが来てもいい。

僕、逆境が好きなんです。スノーボード時代も、逆境を乗り越える瞬間が快感。だから強くなったと思うんです。

今だから「やってよかった」と言えるんですけど。でも、失敗談は、みんなそうだと思います。



友達との事業を成功させる秘訣「溜めずに正直に言う」


友達と一緒に事業を始めることに対しては、否定的な意見を述べる人が多い印象です。

実際、清水さんが相談した人たちも、1人残らず「やめておけ」と言ったそう。


「お金が手に入ったらお金で揉める。お金がなくなったら責任で揉める」と言われました。

でも、全員から言われ続けて出た答えは「やったことがない、できなかった人が言ってきていることは聞かないでおこう」です。



清水さんには、尊敬している師匠がいます。

大学時代、仲間と起業した経験があり、仲間と事業を営む難しさを実感している人。

「お金で揉めるから絶対やめたほうがいい。お前は、面白いことだけしたらいい」と言われたものの、

「できんかったんやろ。俺はできるから。実現して、見せてあげるから待っときな」と言い切ったそう。


絶対「な、言ったやろ。できたやろ」って言いますから。

仲間との起業で、僕が大事にしているのは、揉めることがあったとしても全部正直に言い合うことです。

何かがあっても誰かが止める。友達だからこそできるんです。

あとは、最終的に僕が治める。これは必要。でも基本は「溜めずに正直に言いましょう」です。



お金に関しては「自分の取り分がもっと欲しかったら、みんなにプレゼンしよう」というスタンス。

プレゼンし、みんなが納得のいく金額を受け取る仕組みです。

ポジションも責任もお金も、全員が納得しているからこそ続けられるのでしょう。

そして何よりも、みんながお金で動いていないことは大きいです。


みんなそれぞれ他のメンバーみんなに対してリスペクトしているんです。

まとまっている。お金じゃなく、お金の向こう側をつくろうとしている。

お金はあくまで手段であり、お金を稼ぐことよりも、地域の子どもたちに選択肢をつくることを目指しています。



先輩起業者から未来の起業家へのメッセージ


僕には「清水建設工業」「ONE SLASH」「地元のヤツ」という立場があります。

全部に共通するのは、後ろがいないとダメだということ。自分たちだけではできません。

もし、自分たちが倒れたら、むちゃくちゃ弱い。黒字倒産もありますよね。

だから、地域をつないで会社をつなぐ。次のバトンをつくる準備を同時にしていくことが必要。

10代だからできることは、突拍子もないことだと思います。年齢を重ねると、なぜか、だんだん守りに入っていくんです。

だから、その年代でしかできないことがある。だから、リスク無視で突っ込めばいい。

10代が攻めたら20代、30代がフォローすればいい。

20代、30代が攻めたときは、それよりも上の重鎮がフォローすればいい。

その体制を上の世代がどんどんつくって、自由に勝負できる土俵をつくってあげることが大事。

僕は地元でその場所をつくりたい。10代で起業したいと言ったヤツに、プレゼンしてもらって出資するようなことがしたい。

だから、お金が必要。手段であるお金を稼いで、地域に再投資したい。そのために事業が必要だから、事業をやっています。

10代のみなさん、投資家になってください。次の世代にお金をまわせるように、事業家兼投資家になってください。

僕の世代は、僕がずっと再投資を続けます。

今回は、まとめるがゆえにこれだけしか喋れませんでしたが、もっといろいろなことを考えています。

滋賀県を面で考えられるような、重鎮の方、ぜひ声をかけてください。

僕たち若い世代を表に出して、裏で協力してくださるような方からのご連絡もお待ちしています!



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