スタートアップが事業を生み出す時に念頭におくもの。それは課題がビジネスモデルとして落とし込めるかです。
ただ実績がない事業をいきなり落とし込むのは難しい。そうなったときに行われることの1つが実証実験です。
自治体側とスタートアップが連携して行われる実証実験。
今回その実証実験をスタートアップと本市のみではなく、上場企業も掛け合わせた形で実施しました。
プログラムの名称は「守山市健康起業プログラム」。
その全貌をレポートとして紹介します。
今回実証実験がスタートした経緯としては、守山市が地方創生の取り組み「起業家の集まるまち 守山」で行った繋がりから生まれました。
イヴケアは、五十棲社長への起業家取材。
ユーグレナは、2022年、立命館守山で開催した「びわ湖サスティナブルスタートアップDAY」で出雲社長に登壇いただいたことから。
この繋がりから広がり「起業家のストレス等の健康面を可視化、実態を把握し、サポートすることで健康的な起業(経営)機会の創出に繋げられないか」という観点で今回のプログラムを実施しました。
プログラム内容は大きく分けて3つ。
1つが最先端ヘルスチェックサービス2種による健康面の可視化。
そして期間中におけるサプリメントの摂取。さらには結果を踏まえた上でのワークショップの実施。
本プログラムを通して、起業家の健康面のサポート可能性を探りました。
今回実証実験を行う上で必要となるのが、検査の受診、サプリメントの摂取、ワークショップへの参加をする起業家の存在。
協力いただいたのは守山市の若手起業家の集まり「守山商工会議所 青年部」でした。
事前に守山市から声がけを行い、参加者を募った結果、18名の参加となりました。
しかも参加するのは、起業家だけではなく、守山市を運営する「経営者」という側面から守山市の森中市長も参加。
キックオフとなる記者会見では、ユーグレナの出雲社長も参加いただき、記者会見を実施しました。
当日の記者会見ではその場で髪の毛を切るというパフォーマンスも。
今回2つの最先端ヘルスチェックサービスを参加者は受診。1つが、起業家のストレス診断。どれだけストレスを感じていたか、また将来に向けたストレスの抵抗力の診断を行うものです。
こちらは、イヴケアの技術を活かしたサービス。
もう1つが、尿検査による栄養診断。こちらはユーグレナが提供するもので、尿をかけた検査キットをスマートフォンの専用アプリで撮影すると、約2分という短さで栄養バランスをチェックすることができるというもの。
また、ユーグレナは睡眠の質・ストレスに対してWで働く機能性表示食品のサプリメントを参加者へ提供し、期間中参加者に尿検査を2回受診いただくことで、健康状態の変化を確認しました。
ストレス・栄養面の可視化から、サポートまでを行い、プログラムの締めくくりとして行ったのは「ストレスに対しての理解を深める」ワークショップ。
ワークショップでは、実際の結果を元に、イヴケアによる結果説明会を実施。
ストレスと一口に言われても、どういうものがストレスになるのか、平均は?などを専門家から聞き、その上で、守山の起業家たちがどうだったのかを説明しました。
森中市長も参加。実証実験に首長自ら参加し、体感するのが守山らしさです。
さらにワークショップではそれぞれ出たストレス診断から「他の人はどうだったのか?」「自分が思っている以上に低かった」「ストレスに対する対策はなにをしているのか」などを話し合う場に。
普段から地域事業にも関わっている商工会議所の青年部メンバーだからこそ、より深い話もでき終始実りのある情報交換を行うことができました。
今回の実証実験には大きく2つの役割があります。
1つが起業家の集まるまち 守山として、市内で事業を行う起業家のストレス・健康面のサポートの可能性を探り、これからの持続的な事業成長に励んでいただくこと。
そしてもう1つが、官民連携を通した実証実験を行い新たなビジネスの種を作ることです。
実際にこの実証実験を通して、最終的にイヴケア社の五十棲社長からのコメントです。
ユーグレナ社からも統括コメントとして下記を頂きました。
今回の実証実験に関わり続けた森中市長。
官民連携の実証実験を通して、どのように感じたのかコメントいただきました。
今回の取り組みでは、スタートアップと守山市だけではなくユーグレナという上場企業が実証実験に加わることで、事業の底上げさらにメディアへの掲載価値が高まりました。
実際に記者会見後には地域メディアを中心にテレビ、新聞、Webといった複数のメディアで報じられる結果に。
課題を解決することだけではなく、新たな方向性を見出し、それが世の中の流れに乗る=知られることにつながる1つの官民連携モデルを行うことができました。
繋がりから作る新たな官民連携モデル。
こうした守山市をフィールドとする、実証実験・チャレンジを今後も受け入れ応援していきます。引き続きご注目ください。
しかし、そんな不安を吹き飛ばすように、当日のフィードバック会では、経営者同士が真剣に、あるいは誇らしげに、楽しくご自身のデータを共有し合っている姿を拝見させていただき、きっと経営者の皆様の中に、「心との向き合い方」についての新しい視点が生まれたのではないと確信を得ました。
そして、プログラムの最後に、「自分の会社でもやりたい!」という声をいただき、まずは経営者自身の試していただくことが、我々のような健康経営を支援する新しいサービスを広げていくために大変重要なことであるという気付きをいただきました。今回のプログラムの経験を活かして、地方の商工会等と連携した、経営者へのお試しパッケージを展開していきたいと考えています。
今回の実証は、実施自治体の社会課題解決意識をきっかけに、「心」と「身体」のヘルスチェックという各社が別々に持つ強み・テクノロジーを存分に活かすことのできた非常に貴重なモデルケースであると思います。このようなプログラムに参加できたことを、地域貢献型のベンチャー企業として改めて嬉しく思います。