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20歳から見た「up stream day」当日レポート

公開日:2024年2月16日

こんにちは!しがとせかい株式会社の物部です。

2024年2月3日、滋賀県内で初めてとなる、オープン型のスタートアップイベント「up stream day」が守山市役所にて開催されました。200名近くの参加者の方が来られており、ただ話を聞くだけではなく参加者同士の交流も深まるイベントで大盛況!

私も実際に滋賀で働く身として参加してきましたが、ここが滋賀県であること、ましてや市役所であることを忘れるほどの熱気と興奮!熱の冷めぬうちに言葉に残していきたいと思います。

こういう意識高い系の(そんなことなくてもそう見える)イベントに「興味はあるけど一歩の勇気が出せなくて…」という方の背中を、ほんの少しでも押すきっかけになったらいいな、と思います。

up stream day 公式HPはこちら

イベント概要

イベントがどのような内容で進められたのかを、簡単に残しておきます。
5時間に及ぶ本会と、アフターパーティー(希望者のみ / 会費制)という超豪華2本立て。もちろん私はアフターパーティーまで楽しみました!

当日のスケジュール

13:00-13:25 オープニングアクト
        休憩 / 交流タイム
13:30-14:00 SHE STORY
        休憩 / 交流タイム
14:05-14:55 オープンイノベーションの場づくり
        休憩 / 交流タイム
15:15-16:05 滋賀から飛び出てみたスタートアップの可能性
                         休憩 / 交流タイム
16:10-16:40 スタートアップピッチ
        休憩 / 交流タイム
16:45-17:35 外へ飛び出すことの必要性
        交流タイム / 移動
18:30-20:30 アフターパーティー

スピーカーの皆様

あまりに豪華すぎる登壇者のみなさん。しかも、ここに名を連ねるほとんどの方が滋賀にゆかりがあるそうで、滋賀県民なのに知らなかった。。
滋賀から飛び立ってこうして帰ってきてくださったみなさんの姿は、滋賀で頑張るぞ!と意気込んでいる私にとって、とても刺激になりました。

・SHE株式会社 CEO / CCO
 福田 恵里さま
・株式会社マイネット 会長
 上原 仁さま
・守山市 市長
 森中 高史さま
・内閣官房デジタル行財政改革会議事務局 参事官(総括・スタートアップ担当)
 小林 剛也さま
・株式会社村田製作所 事業インキュベーションセンター長
 安藤 正道さま
・株式会社ANOBAKA アソシエイト
 松永 和彰さま
・エフコード/クックビズ
 伴 貴史さま
・タレント/株式会社Relays代表
 田ケ原 恵美さま
・演奏者(守山市在住 津軽三味線)
 多田 智大さま
・守山市 商工観光課係長
杉本 悠太さま
・しがとせかい株式会社CEO
 中野 龍馬さま
・立命館大学国際関係学部3回生
 畠 麻理奈さま
・立命館大学経営学部3回生
 藤枝 樹亜さま

そもそも|up streamって?

イベントのレポートに入る前に、今回開催された「up stream day」の名にもある「up stream」ってなに?という方に簡単にご説明を。

滋賀のスタートアップを全力応援!

「up stream」とは滋賀のスタートアップを応援するメディアで、その支援の輪を広げるべくインタビュー記事の掲載や動画コンテンツの投稿、また今回のようなイベントを滋賀県で開催しています。

そんな「up stream」ですが、この名前の由来が素敵なのでご紹介させてください。

名前の由来

滋賀県って江戸の頃は「近江国」と呼ばれていて、「近江商人」という日本三大商人のひとつに名を連ねるほど活躍をした、近江国出身の行商人が数多く暮らしていました。

近江商人を象徴する言葉として「三方よし(売り手よし、買い手よし、世間よし)」というものが有名ですが、それと同じく「琵琶湖の鮎は外に出て大きくなる」という言葉もまた、近江商人の象徴として語り継がれています。

琵琶湖の鮎は、春に琵琶湖から川へ遡上することで大きくなると言われています。近江商人もまた、近江国から出ることで日本三代商人と呼ばれるほど、大きくなっていきました。

このことに倣って「滋賀の起業家たちも外に出て大きくなって帰ってきて欲しい」という想いを込めて、『up stream(上流 / 川を遡上する)』と名付けたそうです。

この名前を付けたのは上原仁さん(株式会社マイネット 会長)なんだそうですよ。

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写真中央:up stream名付け親の上原さん

若いチカラが大活躍|up stream day

ここからは実際に当日の様子をお届け!各セッションの振り返りに入る前に、イベント全体の特徴であった「滋賀の若いチカラ」をピックアップ。

◯ 幕開けは

大きなイベントの王道である、まずは偉い人の挨拶…ではなく、津軽三味線の綺麗な音色に包まれてイベントスタート。すこし硬い空気の流れていた会場が、多田さんの演奏によって和やかな雰囲気に。

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奏者:多田 智大さん

奏者である多田さんは、なんと滋賀県にお住まいの高校生。中学校3年生のときに東京都の浅草公会堂で開かれた「津軽三味線コンクール全国大会 少年少女・中学生の部(独奏)」で最高の金賞を獲得した、期待の新星なんです。

◯ 会場の入り口にも

会場に入ると同時に目に飛び込んできた書道アート。

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作:守山中学校書道部

これも滋賀県の中学生がこのイベントのために言葉もデザインも考えて書いてくださったものなんだそう。

書かれている「清風起」というのは「歩歩清風起(ほぼ せいふうおこる)」という禅の言葉から。「一歩一歩の歩みに清らかな風が吹く」という意味なのですが、ただ単に歩くことを指しているのではなく、その清らかな行いの中で風が吹く、みたいなニュアンスかな。

◯ 当日の運営も…

さらにさらに、当日の受付も滋賀県の高校生が担当してくれていました(写真撮り忘れた…)。若いチカラ、すごすぎる。

滋賀の顔が勢揃い|オープニング

13:00、イベントの開始を彩ったのは多田さんが奏でる三味線の音色。綺麗な出囃子の中現れたのは、このイベントを開催まで引っ張ったこの3名!

up streamのこれまでの軌跡や、名前の由来もここで話されていました。私ももっと早く知っていたかったなあ、なんて思うほど、楽しそうに話されていました。こういう方達が作るイベントはほんまにおもしろい!

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左から順に:守山市 杉本係長、株式会社マイネット 上原会長、しがとせかい株式会社 中野社長

そして守山市の森中市長の挨拶に続き、滋賀県の三日月知事、株式会社ユーグレナ 代表取締役の出雲さんからのビデオレターまで!

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守山市:森中高史市長
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滋賀県:三日月大造知事
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株式会社ユーグレナ:代表取締役 出雲充さん

あの社長が滋賀出身⁉️|SHE STORY

この講演を見るために来たという人(たまたま席がお隣で、お話をしていた中で発覚)もいるほど、一際目を引いたSHE株式会社の代表取締役社長である福田 恵里さんの講演会。

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SHE株式会社:代表取締役 福田恵里さん

SHE株式会社は2017年に立ち上げられたスタートアップ企業で、日本最大級のスタートアップカンファレンス「IVS2021 LAUNCHPAD NASU」で優勝され話題に。

現在SHE株式会社が運営する女性向けキャリアスクール「SHElikes」の受講者は述べ70,000人を超え、22億円の売り上げを創出されている、スタートアップ街道ど真ん中を走る福田さん。

▽ SHE株式会社 公式サイト

SHE | Millennial Life-Coaching Company”キャリアだけに留まらない、人生100年時代における自分らしい生き方をサポートし、ワーク&ライフスタイルをアップデーshe-inc.co.jp

▽ SHElikes 公式サイト

SHElikes(シーライクス)無料体験レッスン受付中SHEでは、Webデザインやライターなど、女性が”好き”を本気で仕事にするためのレッスンが揃っています。今だけ体験レッスンshelikes.jp

そんな福田さんの起業するまでと、起業してからのお話を「SHE STORY」としてご講演くださりました。

実は私もSHElikesを受講したことがあるので福田さんのことはもちろん存じていましたが、まさか滋賀の方だったとは!すべては書ききれませんが、特に印象に残ったところをいくつか。

◯ ギャルから起業家へ

滋賀県近江八幡市で育った福田さん。大学生の頃はサークル、飲み会、遊びに明け暮れるギャルだったそうで、その写真に会場が湧き出すほどTHEギャル。

そんな福田さんですが、大学在学中にサンフランシスコへ留学。このきっかけとなったのは、大前研一さんの著書である「時間とムダの科学」の一節だったそう。

人間が変わる方法は三つしかない。一つは時間配分を変える、二番目は住む場所を変える、三番目は付き合う人を変える、この三つの方法でしか人間は変わらない。もっとも無意味なのは「決意を新たにする」ことだ。かつて決意して何か変わっただろうか。行動を変えない限り、決意だけでは何も変わらない。

大前研一「時間とムダの科学」

このサンフランシスコへの留学で、パソコンひとつで働く同年代の起業家たちに魅せられた福田さんは帰国後、初心者の女性向けのWebスクールを立ち上げ、500名以上の受講者を輩出します。

その後、起業家を多く輩出していると言われているリクルートホールディングスに新卒で入社、2017年に現在のSHE株式会社を立ち上げたそうです。

この後の登壇でも「私の転機はサンフランシスコに行ったこと」「みんなのサンフランシスコを見つけて欲しい」と言い続ける福田さんの姿は、とても生き生きとされていました。講演後から2日たった今でも「私にとってのサンフランシスコはどこかな」なんて考えさせられているので、福田さんの影響力は凄まじい…。

◯ 令和の近江商人プロジェクト

大きな話題のひとつだったのが、この「令和の近江商人プロジェクト」というもの。近江商人についてはこの記事の冒頭でご紹介した通りですが、これは滋賀を令和の近江商人が集まるイノベーションの集積地にすることを目指したプロジェクトです。

◯ ひとりでやろうとしない

この令和の近江商人プロジェクトにおいても、起業という面においても、福田さんがもっとも重きを置かれていたのが「ひとりでやろうとしない」こと。これ、フリーランスの方や起業家の方はきっと、グサっと来る方多いのではないでしょうか。私はめちゃめちゃ心を刺されました。

フリーランスとして独立してからというもの、どうしても「自分ひとりの戦いだ」「自分でなんとかせねば」という気持ちになりがちで。でも、実際は仲間だったり、チームが大切なんですよね。

福田さんは令和の近江商人プロジェクトに先立ち「チームSHIGAでやっていきましょう」とおっしゃっていました。なんて心強いんだ。

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チームSHIGAの福田さん

【国・県・市・民間】忖度なしの本音トーク|オープンイノベーションの場づくり

登壇者
守山市 市長 森中 高史さま
内閣官房デジタル行財政改革会議事務局参事官 小林 剛也さま
株式会社村田製作所 事業インキュベーションセンター長 安藤 正道さま
モデレーター
守山市 商工観光課係長 杉本 悠太さま

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左から順に:小林さん、安藤さん、森中さん、杉本さん

上記を見れば分かる通り、国、県、市、民間のトップの皆さんが集ったこのセッション。にも関わらず、かなり直球ストレートな質問に返答の数々。このトークセッション、見応え聞き応え抜群だったので全て残したいところですが、特に頭に入れておきたい話だけまとめます。

◯ オープンイノベーションを成功させた方法

セッションの開始早々モデレーターである杉本さんから、村田製作所という従業員がおよそ80,000万人もいる大企業でうまくいった理由を尋ねられた安藤さん。

順調に駒を進めてこられたようにお見受けされる安藤さんですが、最初からうまくいったというわけではなかったそうです。

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自己紹介中の安藤さん

オープンイノベーションを進めようというのは17-8年前から世間で言われるようになったそうで、村田製作所をはじめ、パナソニックや日立など大手企業が集まったものの、何もうまくいかず。その理由として、思いついたことを自由に発言できる場ではなかったからと、安藤さんは言います。

もちろん、その会議の場はアイデアを発言する場所として設けられているのですが、それぞれの会社の知財を簡単に外に出したくない思いがどうしてもあるからうまく進められなかった。

安藤さんはとにかく仲間づくりが大切だ、と言います。まずは思いついたことをフラットに共有できる関係と場所が必要で、そのためには仲間になる必要があります。

ではそもそも、安藤さんはどうやって仲間を作ったのか。
それはただ「アイデアを募る場を設ける」のではなく、自分が出したアイデアの「自分の技術が足りないところを、その専門の人に相談しに行く」というものでした。そうすることで協力者となる仲間の輪が広がっていったそうです。

ただ会社の指示で集められた者同士で場を囲むのではなく、自分の足で、やりたいと思ったことを本気で伝えに行く。ひとり事業主の身として、改めて「仲間」や「仕事の作り方」というものを考えさせられました。

◯ 今日ここから、オープンイノベーションを成功させる二は

続いて、小林さんが行きの新幹線の中で考えたと言う、オープンイノベーションを今日をきっかけに成功させるにはという問いへの答え。イベントの日に限らずこれからも大切にすべきと思ったので、残します。

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自己紹介中の小林さん

① とにかくすぐ動くこと。
② 勉強しすぎない、考えすぎないこと。
考えて立ち止まっていてもやってみないとわからない。スタートアップやオープンイノベーションに限らず、革新的なことをするときはいつもそうだと私は思います。

③ やると決めたらアクセルを車の底が抜けるくらい踏むこと。もし本当に抜けてしまったら車のボディを持って自分の足で走ること。
この例えがとても好きで、絶対忘れないぞ、とメモをとっていた一文。これだって、ひとりでいるよりも誰かと一緒に乗っていた方が力を分散させてより長く走れるようになれるな、と。仲間づくりの大切さをここでも感じました。

⑤ 今日、この場で「名刺集め」はしないこと。本当に繋がりたい、一緒にやりたいと思える2-3人に出逢うこと。
⑥ その2-3人に週明けアポイントを取って、自分から会いに行くこと。
これは去年の私に聞かせたかった!
1年前の私は右も左もわからず(今もですが)、とにかく繋がることだけを考えて名刺集めをしていました。その日から今でも繋がっている人はいないに等しいので、とても納得できる言葉でした。

⑧ ひとりでやろうとしないこと。今日の名札(参加者の名札は所属ごとに色分けされていました)を見ながらたくさんの属性の人と助け合って成功させでばいい。
これは福田さんのSHE STORYからずっと出てくる「ひとりでやらない」「仲間づくり」の話ですね。ここまで全員がそう言うのだから、そうなんだと思います。このキーワードはイベントが終わるその時まで、ずっと中心にあるものでした。

◯ 地方の行政がオープンイノベーションを成功させる方法

「起業家の集まるまち守山」として、さまざまな取り組みを進める守山市の森中市長。地方の行政が新しいことを進めることが難しい要因として「実績の壁」があると言います。

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自己紹介中の森中市長

市や県、国といった行政が何かを始めるには、それが成功するという根拠が求められることが多いのが現状であることは、容易に想像がつきます。そこで求められる「実績の壁」をどう乗り越えるかが、地方の行政がオープンイノベーションを成功させるカギになるのだそう。

そのためには、事務局が責任を持って「いいコトやってるんですよ」と言い張れる必要があります。「まずは試しにやってみる」という雰囲気のない行政に対して打破するしかないのだと話す森中市長がとても頼もしく見えました。

◯ オープンイノベーションで気をつけなければならないこと

日本で今活躍している企業の多くは創業から80-100年経っていて、200年以上続いている会社の数は日本がトップと言われています。

日本の企業がそうして長い期間事業を継続できるのは、理念を大切にしているから。「村田製作所だって、急にキャラメルを作り出したらなんか「ん?」と思うでしょ」と安藤さんが話されたとき、きっと会場の大多数の方が「たしかにな」と思ったと思います。

今やAIでも企業の方針を考えてくれる時代です。そんなAIでもできないことは、企業理念に則ったものを考えること。企業に勤める人間として「何を変えたらダメなのかという叡智と、何を変えるべきであると言う勇気を持つ必要がある」と安藤さんは言います。

◯30秒でオーディエンスにメッセージを!

ここは載せるべきか迷いましたが、とても秀逸だったのでまとめておくことにします。

森中市長)
滋賀・守山といフィールドを「試してみないとわからないこと」に活用してほしいです!

安藤さん)
今生まれている新しい壁は「社交辞令」だと思うんです。滋賀から社交辞令を撲滅していきましょう!

小林さん)
社会課題って学校みたいで好きじゃないんです。チャンスと思っている。日本の課題解決は海外から見たら儲かる話であることがたくさんある。「うまくいくぞ!」ということがあったら、具体的に持ってきて欲しいです。

誰と、どこで、どうやるか。|滋賀から飛び出てみたスタートアップの可能性

登壇者
エフコード/クックビズ 伴 貴史さま
株式会社ANOBAKA アソシエイト 松永 和彰さま

モデレーター
タレント/株式会社Relays代表 田ケ原 恵美さま

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ちょっとお堅い雰囲気のスライドにビビる私の視線の写真

ここからは、滋賀から外に出て起業した伴さん、松永さん、田ヶ原さんによるトークセッションから一部抜粋したいと思います。

◯ 資金調達のメリット / デメリット

いきなりこんな話から書くのもどうかとは思いますが、起業とは切ってもきれないお金の話。ズバリ答えてくださっていたので、いつかの私の参考にするために。

まず、1つ目のメリットは融資の場合と違い、「起業するその瞬間」にまとまったお金が自分のものとしてあること。起業してからは資金力の勝負になるケースも多いそうで、その時に加速できるだけの資金を持っていられることがメリットだと、松永さんがおっしゃっていました。

その一方で、資金をいただく相手とのズレが生じると大変になってしまう。きちんとその人と対話ができそうかどうかを注意深く考えている必要があるそうで、これはお金に限らず一緒に仕事をするうえでとても大切な視点だと感じました。

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2つ目のメリットとして伴さんがおっしゃっていたことが、会社を一番簡単に成長させることができる、というものでした。起業してからは競合よりも早く突き抜けられるかどうかの試合になるため、資金力が勝負になるとのこと。

また、人と人の関係構築を疎かにしないことが大切だとおっしゃっていました。関係過程が増えれば増えるほど、起業家が舵を握ることが難しくなってしまう。だからこそ、自分で舵を握れる関係を作れる相手から資金調達を進める必要があるそうです。松永さんの話と通づるところがあるな、と思いながら聞いていました。

◯ スタートアップに必要なものは

スタートアップに必要なものは「経営者が話すストーリーにどれだけ魅力を感じて納得できるか」だと、伴さんは言います。例えば滋賀で起業することにこだわるのであれば、水の再生工場見学や海のこなど、外からは見えない滋賀にあるアセットがあるので、そこを活用していくビジネスができたら良いのでは、とのことでした。

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私も滋賀育ちなので水の再生工場にも行ったし、海のこにも乗ったのでそれが滋賀特有のアセットであるなんて思いもしませんでした。でも、たしかにそこから起業のストーリーが進んでいると「この人はだから滋賀でこれがやりたいんだな」と感じられるなあ、ととても納得したものです。こういうことか!

◯ 滋賀の外に出て感じたこと

私は滋賀の外に出たことがないので、とても興味深かったというのと「いいな」と思ったので箇条書きで残します。

① 自分の成長したい速度に合わせて身を置く場所を選ぶべき
→東京では1週間日が空くと、前に会った時とは全く違う知識を身につけていることが当たり前。
→インターネットが広がって触れる情報は滋賀も東京も同じだが、触れる量が多い分身に付くペースが圧倒的に差が開く

② 観光的なものではなく、留学のようにその土地で生きてみるべき
→そもそも自分とは感覚が違う人がこんなにいるのか、という衝撃を受けることが大切
→すごい人がどれくらいやっているのか、どれくらいやればそうなるのかを知るきっかけになる

【休憩】市役所併設の超おしゃれカフェで交流会

ここまでとても充実したトークセッションを過ごしながらも、充実しすぎて頭の中が大混雑していた15時ごろ。休憩と交流会を兼ねて、市役所にできたおしゃれカフェ「アバンダントリー」さんのドリンクや軽食を振る舞っていただきました!

首から下げている名札を頼りに名刺交換や交流をするというのは、ここまでの休憩をかわりないのですが、ほっと一息つきながらの交流はやっぱり話が弾むんですよね。私はもちろん、皆さんもとても楽しそうでした!

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アバンダントリー内の様子

期待の新星勢ぞろい|スタートアップピッチ

ここからは、イベントで10分間ずつスタートアップピッチとしてプレゼンをされた4名をご紹介します。

① 株式会社Foofful 柳陽菜さん

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離乳食期の子を持つお母さん、お父さんをオンラインチャットで専門家がサポートするサービス「chilldish」を展開している柳さん。このピッチでは唯一の現役大学生だったそうで、同じくらいの歳であることに驚き!

これまで積み重ねてきた内容を行ってきて、次への展開をピッチする内容となっていました。

フィードバックされた福田さんから「課題が確実にある領域で、自分も子育てしている身として使います。」となんとも温かいメッセージが。

実際にこのイベントのあとサービスもベータ版がリリースされており、今後滋賀県から出てきたサービスとしても期待大です。

参考リンク:chilldish

② 一般社団法人One Smile Foundation 辻早紀さん

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笑顔を寄付に変える「スマイラル」というサービスを保育園で展開されている辻さん。

滋賀県湖南市に住まれており、笑顔で寄付にするサービスをどのように作られているかをピッチされました。

なかなかピンとこない笑顔で寄付にするというアイデア。ですが、保育園での写真撮影サービスと掛け合わせることで、それが実現できる「写真購入モデル」になっているところが目から鱗でした。

フィードバックされた松永さんから、この事業がどんどん進んでいくときに障害になっていくもの、さらに原体験のところを組み合わせながら、事業を作っていくのがおすすめですなどVCならではのコメントもいただきました。

ちなみに辻さんはこのイベントきっかけで知り合った大学関係者の方と、後日新たな試みをすることになったようです。

改めて大人数の前でピッチすることの大切さも思い知りました。

③ ゲットセット株式会社 藤井 雄気さん

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こんな言い方をして良いものではないと思うのですが、私の思い描く「The 理系」なサービスを展開されている藤井さん。

プログラマーとして考えた内容と、社会的にこれから課題になるものを組み合わせて作られていました。

ピッチ内容はそのThe理系を生かして、わかりやすくなおかつ理論的な部分として出されていました。

ちなみに藤井さんは、up stream dayが開催された守山市在住の方。

コメントでは伴さんがフィードバックされ、この事業の成長性の部分・実現性の部分に話が投げかけられており、ぜひ今後にも期待です。

④ SoFun株式会社 吉川 友さん

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「事業承継をきっかけに、日本をおもしろく」という、私が考えたこともなかった発想からサービスを展開されている手操さん。

滋賀で生まれたサービスは日本全国の事業承継を解決すべく新たなモデルとしてどんどん紡がれており、とてもワクワクした内容になっていました。

特に面白かったのは、フィードバックで上原さんが疑問を投げかけられたところです。

「この事業のスケールはどのようにするのか?」「その先にビジネスモデルとしての拡大性は?」とし、そこからの回答を一つずつ丁寧に答える吉川さん。

そこにまた上原さんの質問がぶつけら、その応酬はまさに見応えのあるものになっていました。
これが本気の討論なんだ・・・。と思うぐらいの熱量のぶつかり合いは、会場にいた皆様にもすごい刺激になったかと思います。

琵琶湖の外で育つ鮎のように|外へ飛び出すことの必要性

登壇者
SHE株式会社 代表取締役社長 福田恵里さま
株式会社マイネット 会長 上原仁さま
モデレーター
しがとせかい株式会社 代表取締役社長 中野龍馬さま

いよいよイベント最後のトークセッション。この1日のイベントを振り返りながら、滋賀から外へ飛び出すことの重要性というテーマでトークが進む中でキーワードとなったのが「サンフランシスコ」

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◯ 滋賀から出てよかったな、と思うこと

リクルートの創業者である江副浩正氏の「機会を自ら創り出し、機会によって自らを変えよ」という言葉に感銘を受けたという福田さん。そしてその言葉を自分自身の体験としてまさに感じたタイミングが、大学生時代にサンフランシスコへ留学したとき。

サンフランシスコへ留学をして現地で学生起業家たちに囲まれ、PC一台でバリバリ働く姿に憧れてスクールを立ち上げて感じたことは、自ら環境を作りにいくことの大切さだったそうです。そこからは、自分の周りの5人の平均が自分であると感じるようになり、このイベントの直前も自分自身をアップデートするためにシリコンバレーに行っていたんだとか…!

福田さんにとって転機となったサンフランシスコのような場所やきっかけは、私にとってどこになるのかな、とワクワクさせられるお話でした。

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上原さんは東京で起業されてから、「毎日が全国大会」だったそう。これは高校の部活動とかで考えるととても分かりやすいな、と思った話で。

滋賀県にいると全国大会って誘致されても、年に1度とか何年に1度とかで眼にふれる機会すら少ないんですよね。しかも開催地は東京や大阪、福岡みたいな都市部ばかり。でも、東京に自分自身がいればほぼ毎日どこかで何かの全国大会が開催されていて、その強い人たちの中で戦うことが必然的に増えていく。

そんな環境にいると、自分も強くなっていくし、こうして地元に帰ってきた時に強くなったなと実感できるのだそう。

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◯ ズバリ、滋賀から一旦出た方がいい?

滋賀にある事業者と仕事がしたい!という思いがあったり、滋賀のアセットを使って事業をするのであれば、滋賀にいた方が良いと思う。

ただ、そうでないのであれば一度外へ出た方が良い!というのがお二人の総意でした。ただ、その理由はそれぞれまた違ったものだったのでそれぞれおさらいしておきます。

福田さん)
何かを成し遂げるには、中から攻めると時間がかかる場合もあり、外から攻めたほうが良いときもあるそう。福田さん自身は「義務教育を変えたい」という思いがあるそうで、文科省の内部ルートから変えるより民間として外から変える方が近いと考えているそう。

上原さん)
東京には世界中のお金が集まる証券取引所がある。母国語でそれだけのお金にアクセスできる窓口があるのに、使わない方が損している!とのこと。私には程遠い世界の話、と思ってしまったのですが、そう思ってるうちはまだまだなんだろうなあとも思ったり。

外で強くなって滋賀に帰ってくることで、滋賀に風をもたらした福田さんと上原さん。この「外から持って帰ってきて、新しく伝える」という循環を20年くらい回すエコシステムを滋賀で作っていくと起業家が強くなるのではないか、とのことで先を見据えた強者感が滋賀で働く身としてとても頼もしく感じました!こういう方がいらっしゃることもまた、滋賀の誇りだな、と思います。

◯ 起業家のみなさんへメッセージを

福田さんからのメッセージより
「まず、今、企業を考えていない人も人生で一回は起業してください!自分で考えたことに付加価値を作るという体験は、大小関係なく大きな糧になります!」と言い切るほど、自身が起業されたことを人生で一番やってよかったことと感じられている福田さん。そしてやっぱり「自分のコンフォートゾーンを抜けるために、一旦サンフランシスコへ。笑」との言葉もありました。私もサンフランシスコ探さなくちゃ!

上原さんからのメッセージより
up streamの由来でもあるように「外に出て大きくなる、琵琶湖の鮎になりましょう。」と言う上原さん。「地元が好きな人であればあるほど、一度外に出てほしい。そうすることで大好きな地元に貢献できる。」とおっしゃるのは、上原さん自身がまさにそうだと自負されているから。
上原さんは今、東京で「滋賀×スタートアップ」の方の心理的安全性を確保するコミュニティを作られているそう。もし東京に行くぞ!と言う方は、ぜひ上原さんにご連絡を…!

【滋賀のプライド】滋賀の琵琶湖は日本イチ!

こうして熱狂の中すべての講演 / トークイベントが終了。最後は上原さんがいつも絶対に使うという「滋賀の琵琶湖は日本イチ!」の言葉で写真を撮りました。

「滋賀県は全国でどこにも、誰にも負けないNo.1をもう持っている」その言葉で会場がグッとまとまったように感じました。

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撮影ポーズをレクチャーする上原さんと中野さん
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ここが市役所とは思えない…!

若者たちに|滋賀経済同友会 櫻田満 代表幹事

このイベントの水面下でずっと見守ってくださっていた、滋賀経済同友会の皆さん。最後の挨拶でも「おじさんはいいって言ったのに笑」とおっしゃるこの頼もしさ、伝わってほしい…!

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おわりに

こんなに素敵なイベントを創り上げてくださる行政の方、起業家の皆さんがいる滋賀県、こうして外から帰ってきてくださる方がいる滋賀県、ここに集まる熱気あふれる方のあふれる滋賀県、そしてこんなに頼もしい経済同友会の皆さんがいらっしゃる滋賀県。

私が見えていなかっただけで、きっと滋賀県は私たちにずっと優しい場所なんだと心から感じました。今、ここで知ることができて本当によかったです。

私は人見知りをしてしまいやすいので、今回のイベントに参加することはとても勇気がいることでした。でも、いざ参加してみるととても楽しくて充実していて、知り合いの方も増えて(話しかけてくださった方ありがとうございます!)、またどこかでお会いしたときに「今、こんなことやり始めましたよ!」と言えるように頑張っていかなきゃと思わせてもらえる、そんな刺激に溢れた1日でした。

また次があるのなら、私は絶対参加します!最初は乗り気になれなかった私がそう言い切れるほどのイベントに仕上げてくださった関係者のみなさま、本当にありがとうございました!